それでも,やっぱり製造業はおもしろい(1/3)

以前のエントリーでは製造業に就職する人をターゲットに色々書いて来ました.
今回は,少し間口を広げて製造業は楽しい点を書こうと思います.


1.完成品がモノである事.


なんだかんだ言っても,世の中ソフトだけでは生活できません.
逆に,ソフトが無くても別に生活は出来ます.*1


まず,実際にモノを作っている製造業は,海外出張の割合が多いです.
ボクの同期でも既に30人中5人は一年目から,アメリカ,スウェーデン,ドイツ,等に海外出張しています.
理由は2種類あります.

1.海外工場で生産している.
2.取引先が海外である.

なので,もし仕事で海外に行きたいと思うなら,製造業という選択肢はソフトウェアハウスよりも良いかも知れない.
なんせ,ソフトウェアの開発は家でも出来るからわざわざ見に行く必要も無いしね.


次にこの項目で楽しい事は,「世の中が少し見える」事です.
製造業に就職した場合,あなたはその会社が販売している多くの製品種類のうちの1つに携わることになります.
そうすると,それを軸に業界の動向や,世界での売上,世界でのシェア,など色々なモノが見えてきます.


例えば,ボクの配属先の工場は車載製品を扱っている部門です.

そうすると,車の世界的な売上,業界の会社間のつながり,などモノの流れを通して世界の流れの一旦が見えると思います.

例えば,インドのタタ・モーターズ*2の「28万円カー」
世間では,やれミラーが片方しか無い.恐くれ乗れないなんて騒がれています.

しかしボクはこれは世間で騒がれている以上に自動車業界には大ダメージだと思える様になった.
大手のカーメーカは,インド等の先進国に投資をしています.薄利..場合によっては赤字覚悟で車を売っています.
そうする事で,車を生活の一部に組み込もうとしているのです.
車を生活の一部に組み込んでしまえば最終的には回収できる.
ホントに長期の目標です.

それを,赤字でもなく,おそらく黒字なタタの「28万カー」が売り出されてしまったら,今までの投資は水の泡です.
「織田がつき 羽柴(秀吉)がこねし 天下餅 すわり食うは家康」の家康をタタがやってしまったのです.

という風に,何となく世間の流れが読める様になると思います.



あと,OEM*3って概念が結構おもしろいよ.
あの製品,うちの製品のOEMなのに,ブランドだけでうちの定価より1万高い...とかさ.




3番目は製造ラインを見れる事.
正直コレは見た方が良いと思います.

なんかちょっと人生観が変わると思います.
製造ラインには次の2種類があります.

1.人が大量に並んでいるライン
2.ロボットが24時間動いているライン

です.どっちも見た方が良い.

2を見れば技術の進歩が見えます.
物を,一定の時刻で,一定の品質で,大量に生産するという事はホントはとっても難しい.
でもそれを実現できている生産ラインは見る価値があると思います.


ちょっと主観になるけど,最初に1のラインを見たらチョット哀しくなる人もいると思う.


ボクは哀しくなった.

何十年も同じ事を毎日毎日している人がラインにはいます.
そこに疑問も抱かず,むしろ自身の作業に誇りを持っている人の方が多いです.
ホントに嬉しそうにボクに,作業の仕方を教えてくれます.
その笑顔がまた,痛く怖かった.


製造業に入ると現場実習というのがあると思います.
あれはホントに世界観が変わるよ.

*1:ただし,不便になるけど...

*2:http://www.tatamotors.com/

*3:製造元とは異なる企業のブランドで売られる商品。また、そのような商品の製造元。