それでも,やっぱり製造業はおもしろい(2/3)

毎度ですが,色々な方にリンクを張って頂き本当にありがとうございます.

http://homepage1.nifty.com/maname/log/200803.html#151605
「まめなはうす」様 毎回ありがとうございます

http://d.hatena.ne.jp/dangerous1192/20080317/p3
酔拳の王 だんげの方」様 ありがとうございます

http://d.hatena.ne.jp/loop/20080316/1205678939
「黒マグロ」様 ぜひとも言及して下さいね.ボクの書いている事はマダマダほんの一部だと思います.
作っている製品が違えば,環境も違ってくると思います.そちらのお話も教えて下さい.

http://d.hatena.ne.jp/clue/20080315/1205567694
さいごのカギ」様 製造ラインは自己啓発セミナーよりもためになる..
おっしゃる通りだと思います.


ボクが気付いていないだけで他にもいろんなヒトがリンクを張ってくれているみたいです.
本当にありがとうございます.




では本題です.



今回はモノ創りだけじゃなくて,モノ作りも結構楽しいですというお話


モノ創りは,試作の事を意味します.
モノ作りは量産を意味します.



弊社の場合は,モノをカーメーカに買い取ってもらうので,
カーメーカの要求する納品数製品を製造する必要があります.


さてココで問題です.
カーメーカは何日前に希望納品数を確定するでしょうか?

1.2ヶ月前
2.1週間前
3.3日前




こたえは,3番です.
大抵は,3日前に確定情報が貰えます.



次の問題です.
ある製品を作るのに何日かかるでしょうか?

1.15分
2.6時間
3.11日間



うーん実は全部正解です.
製品によって作成時間は異なりますしね.
ちょっといぢわるな問題でした..




じゃぁ,最後の問題です.
海外(例えばアメリカ)に船便で製品を出荷するのに何日かかるでしょうか?
1.2ヶ月
2.2週間
3.3日



答えは2番です.
気付きました?ココ迄で凄い事が起きてる事に....




3日前にならないと納品数が決まらないのに,遅くとも2週間前には既に出荷しないと間に合わないのです.
つまり,ボクの会社は,相手の納品希望数を予想して製品を出荷しているのです.


もっと,言いましょうか?
2週間前に出荷する商品を作るのに,最大11日かかります.(ここでおよそ25日)
さらに,その製品を作る為に部品を発注する必要があります.(ここで30日)




それにかけて,納品数は激変します.
納品数のグラフを何度か見ましたが,
急に半数以下になったかと思えば,次の週には2倍以上になったり*1,
場合によっては急に0になるモノさえあります*2


全く容赦のないものでした.*3


在庫を持てば良いじゃないか?という意見が聞こえてきそですが,在庫は負債です.

今の業界のトレンドは在庫を持たない事です.
日本を代表する某車メーカは,部品倉庫を持っていないとも言われています.*4
在庫を持つと,金利負担の増加,倉庫維持費及び在庫維持費の発生,などよけいなコストがかかります.
さらに,急な仕様変更の為に在庫がゴミの山になる危険性があります.*5


などなど,在庫というのは百害あって一理無しというのが現在の業界では基本です.



このような,現状を踏まえて今日何個製品を作るか,今日何個部品を発注するかを考える仕事があります.
彼らは予想屋な訳です.

会社同士の繋がりの変動が多い業界ですのでその情報を持っているか持っていないかで大きく変わってきます.
また,取引先の会社のキャンペーン情報も大きなヒントです.


そして彼らの予想で千何百人が動く訳です.

人員をどのラインにどのくらいの人数を配置するのか?
どの製品をいくつ作るのか?いま手持ちの部品をいくつあるのか,
寝すぎている半製品*6や仕掛品はないか?
などなど,複数の要素を見て実際に製造の工程を考えます.



これはかなり思考力のいる問題です.
下手なプログラムよりも論理的に考える必要があると思います.


そして,彼らの予測がうまくいっているお陰でボクの会社は壊れません.
むしろ黒字です.それがボクには取っても不思議.

でも,こんな風な予測で動いている製造業だからこそ,あまりコンピュータが受け入れられないのかもしれません.



あと,ここでもう一つ言いたい事は,モノを作るだけが製造業じゃないんですよって事.
いかに売れないモノ,買い取って貰えないモノを作らないかというのが利益を上げる為にはホントは重要だって事です.


会計の基本である資産を殖やす2つの方法
1.収入を増やす
2.支出を減らす

収入を増やすって言うのは難しい.
大事な事は無駄な支出を減らす事なのです.結局利益を出す為には無駄な支出を抑えるのが一番の近道なんですね.



モノが流れるが故にいろんな事が学べるのも製造業の良いところですね.

*1:これは結構よくあります.

*2:ホントにまれですが...

*3:保証内容はメーカによってあったり無かったり...

*4:カンバン方式やらJITと聞こえは良いですが,実際は子会社や部品メーカに負担をさせているだけです.

*5:これが,案外あるんですよ.

*6:半分完成している商品