日本は自動車は作れるが,ジャンボジェットやスペースシャトルは作れない?

http://anond.hatelabo.jp/20080912233631

はてなの最近の人気記事を見てて気になってのでコメントしてみる.


例によって,製造業社員としての目線*1

車の総部品数は数万、ジャンボジェットやスペースシャトルは数百万

コレは全く関係ないと思います.部品点数が数万点だろうが,数百万だろうが,数千万だろうが,一人のエンジニアが抱えるモジュールを作る為の部品点数は大差がない.

・大量の部品を、破綻なく組上げることができるシステムを構築できるかが問題

部品をくみ上げる際にも,トップダウンで考えれば,どんな大きな製品だろうが,最初は1
そこから分解していくだけなので,スペースシャトルを10のモジュールに分ければ,一つ当たりは車と同じ部品点数になる.
だから,大量の部品を破綻無く組み上げることは不可能ではない.




・欧米企業がそれをできるのは、やはり論理的思考の歴史と素地があるからかもしれない


ここの後半だけ納得出来る.
日本は文化的に,個人芸が得意だと思います.
日本の国技と言えば,相撲・剣道,日本の文化と言えば,茶道や華道.
かたや,イギリスの国技と言えば,テニスやゴルフのような個人スポーツもありますが,ラグビー,サッカーといったグループのスポーツもあります.

日本は昔から,チームやグループで作業をするという事をあまりしてこなかったように思います.
これは技術者においても同じ事が言えます.
それぞれのエンジニアが,最高のモノを作る.

そして,もし次のステップでほかのヒトと組み合わせる場合があっても組み合わせる相手も最高のモノを作ってくるとお互いが信用し合っている様に感じます.
エンジニアは最高のモノを作ることに全力を注ぎます,その結果多くのエンジニアが残業や休日出勤をしてでもより完成度の高いモノを作成します.


さて,話を戻します.
最初の2点つのトピックスで述べた通り,スペースシャトルやジャンボジェット機を作る事は日本人にも可能です
ドコでコンサルをしているのかは知りませんが,部品点数の問題にするなんてナンセンスだと思います.

ただし,ビジネスとしてスペースシャトルやジェンボジェット機を作るというのは難しいと思います*2
なぜならエンジニアをマネジメントをする必要があるからです.


詳しく述べると,ビジネスとして成功させるためには,納期やコストを考える必要があります.
日本は...特に製造業はこの手のプロジェクト管理がまだまだ弱いし,その効果が認識されていないとボクは思います.


エンジニアから見ると,プロジェクト管理は設計業務の邪魔な訳です.
あるエンジニアにヒアリングの際に言っていました.
「最高のモノを作ろうとしているのに,なんで上司に進捗率を管理されないといけないんだ.エンジニアと上司の信頼関係に亀裂が生じる.」


一方,プロジェクトのマネージャも,元々はエンジニアです.
時間やコストよりも良いものを作りたいという気持ちをエンジニアが,抱くのをもっとも理解しているヒトがマネジメントをするのです.
客先から期限がどうこうと言われるので,それを管理したい一方で,エンジニアの気持ちも理解できる.でも結局は客先優先になってしまう.



これでは,うまくマネジメントできるわけもないと思います*3


これから日本がどんな風に進んで行くかをボクは知りませんが,納期の短縮化に伴う製品サイクルの向上は結果として消費者に取って損な気がボクはするけどなぁ〜
何か結論は,トラックバック元と全く関係無くなってしまった....

日本は良いものは作れる,期限さえ無ければ.

*1:製造業しか経験も知識も無いので...

*2:いま頑張っている会社があるので頑張って欲しいですが...

*3:もちろん,うまく出来ている場所もあると思いますが....