よみがえるケインズ 〜長期期待,エル・ファルロ・バー,後知恵バイアス〜

【ざっくりまとめ】
帰納的な思考でも,繰り返し行うことにより演繹的な結論にたどりつく事ができる.

【注目ポイント】
帰納的な思考による期待と演繹的な思考による期待.
帰納的とは,事実から一般的な法則を導きだすもので,演繹的とは,一般的な仮定から結論を導きだすもの.
・ヒトの論理的な思考には限界があり,演繹法はうまく帰納しないことが多い.


【エル・ファルロ・バー問題】
・60人を超えると居心地が悪くなるバー
・60人未満と期待するなら出かける,60人以上と期待するなら家にいる.
・判断基準は,自分が過去に出かけた時の経験のみ.

・2つの特徴.
- 経験のみに照らして判断するので,論理的に妥当な期待モデルの数が増えすぎてしまうので,帰納的なアプローチに頼らざる得ない.
- 期待が裏目に出ることがある,全員が「大部分のヒトが行くだろう」と思えば店はガラガラ,逆に考えれば店は満員.

・結論
- 各個人が何度も判断を繰り返す事で,バーに出かけるヒトの平均が60に近づいて行く事が判明.
- ある研究結果によると,2万回の試行が必要.
- 帰納的なアプローチでも演繹的なアプローチと同等の結果を導きだすことができる.

【結論】
・全体として十分な多様性が存在すれば,マーケットは効率的(合理的)に機能する.
・しかし,マーケットから多様性が消失したとき,市場価値は本来のものから離れていく.


【感想】
・ここ数回続いた,マーケットは合理的なのかどうかの1つの結論が見えた.
・マーケットが効率的に動くのであれば,投資に関する研究成果は十分に利用する事が可能であると考えられる.
・投資に関する勉強を続けよう.